各地で盛況の仮想通貨イベント
マレーシアだけでなく、各国政府の仮想通貨に対する規制の行方が注目されている。
「仮想通貨(Crypto Currency)」「ビットコイン」という言葉を毎日のようにテレビやインターネットで見かけるようになり、仮想通貨への人々の関心も日に日に高まっている。
仮想通貨関連のイベントはどの国でも盛況のようで、マレーシアでもさまざまなイベントが開催されている。
ブロックチェーンやフィンテックなど仮想通貨の土台となるテクノロジーを勉強するためのセミナーから、投資家向けのアルトコイン販促会など、イベントのテーマは多岐に渡る。
高級ホテルからショッピングモールの催事場などさまざまな場所で開催されており、数百リンギの参加料をとる有料のものから、登録さえすれば誰でも参加可能な無料のものまであり、多様な情報が交換されている。
連載3回目の今回は、マレーシア各地で開催されている仮想通貨イベントの一つにTHE KLが参加し取材を行った。
Crypto Currency Expo
12月11日、12日の2日間、KLセントラルのLe Meridienで「Crypto Currency Expo」が開催された。2日間に渡る会期中、18人のさまざまな国から集った専門家が登壇し、パネルディスカッションや講演、対談、ビジネスマッチングなどが行われた。
主催者によると、2日間で約160人の参加者が集まった。平日にもかかわらず、2日連続で出席した参加者も多かったという。
議題は例えば以下のようなものだ。
・仮想通貨の将来性
・ビットコイン、イーサリアム、アルトコインとは何か
・仮想通貨は違法か、合法か
・仮想通貨が世界に与えた混乱と衝撃
・アルトコイン:将来性はあるのか
・デジタル投資の最近のトレンド
・ICO(Initial Coin Offering):悪質な投資案件を見極める方法
ステージ奥の幕には、スポンサーとなっているさまざまなアルトコインのロゴが並び、会場の外にもアルトコインのブースが並んでいた。イベント開催費用の約50%はスポンサーからの出資だという。
ちなみに、入場料は最も安いもので2日間で250米ドル。2泊3日のホテル付きのチケットは1000米ドルである。
2018年度は2カ月に一度、各国で開催予定
主催者のShahin Pilli氏は、インド出身でバンコクに拠点を置くビジネスマンだ。
マニラ、香港、マレーシアにもオフィスをもち、経営者や弁護士などのプロフェッショナルを対象としたネットワーク作りを目的とした展示会を主力としたビジネスを展開している。
Crypto Currency Expo主催者のShahin Pilli氏
なかでも、ASIAN NETWORKERS CONVENTION & EXPO(ANCE)は、2017年度はフィリピンのマニラで開催し、7000人が参加した。
アジアのビジネスマンと関わるなかで、2年前から仮想通貨に携わるようになった。独自のネットワークを生かして、仮想通貨の分野に強い弁護士や会計士、システムディベロッパーなどと協力してアルトコインの立ち上げやマーケティングのコンサルティングも行っているという。
「Crypto Currency Expo」は今年スタートしたビジネスで、クアラルンプールの前に、バンコク(8月)、ドバイ(10月)で既に開催しており、今後もインドネシア、インド、フィリピンなどアジア各国で約2カ月おきに開催する予定だという。
「Crypto Currency Expo」の開催はShahin Pilli氏にとってはビジネスだが、目的は教育や啓蒙だという。
「アルトコインの企業にスポンサーになっていただいているが、講演の内容はアルトコインやICOを勧めるものではない。なので、登壇する講師達は注意深く選んでいるし、講演内容は事前にチェックしている」
マレーシア人は情報収集が早い
Shahin Pilli氏は「マレーシア人は情報収集がほかのASEANの人に比べて早い」という。
「例えば、マレーシアでは、タクシー運転手でもビットコインという名前を知っている。ほかのASEAN諸国ではこうはいかない。マレーシアはダイレクトセリング(ネットワークビジネス)が普及していてマーケットが大きいので、情報が早く広がるのだと思う。とはいえ、マレーシアは人口が少ないので、将来性という意味ではフィリピンやインドネシアの方が大きいだろう」
このExpoはマレーシアで開催されている仮想通貨関連のイベントのほんの一例だ。
クアラルンプールでは、毎月のようにブロックチェーンや仮想通貨、ビットコインという名の付くイベントが開催されているが、その内容は玉石混交であるといえるだろう。