イスラムの断食(ラマダン)とは?
2018年5月17日から1ヵ月間、マレーシアを含むイスラム圏では「ラマダン(Ramadan)」と呼ばれる断食が始まる。
断食といっても、日の出前の最初のお祈りから日没までの間、食べ物と飲み物、タバコを口にしないというもので、まったく食べないわけではない。
ラマダンの1ヵ月間、ムスリムの人々は早朝に起きて、Subuh(スブー、1日5回のお祈りのうち最初のお祈り)の前に食事を済ませ、日没後に断食明けの食事を行う。
地域によって日の出、日没、そしてお祈りの時間は異なり、クアラルンプールと東マレーシア(サバ州とサラワク州)では実に30分以上の違いがある。
例えばクアラルンプールでは、Subuhは午前5時半頃で、断食明けの食事は午後7時20分頃である。
新聞には、毎日、各エリアの日の出と日没の時間が記載され、断食の時間を知らせるアプリもあるなど、断食にも現代のスタイルが取り入れられているのだ。
暑い東南アジアでは水分を摂れないことは非常につらいが、断食中の体験を通じて、他人の痛みやつらさを思いやれるようになったり、またムスリム同士の仲間意識を高める目的もあるという。
1ヵ月にわたる断食の後は、「ハリラヤ(Hari Raya)」と呼ばれるイスラムのお正月がやって来る。
ラマダンを乗り越えれば、故郷に帰り、親戚や友達とごちそうを囲む、楽しい時間が待っているのだ。
ハリラヤのお祭りムードは約1ヵ月間続き、王様や首相、地方の名士などが「オープンハウス」を開催し、訪れたすべての人に無料で食事を振る舞うこともある。
ラマダン期間中の生活
ラマダン期間中とはいえ、子ども達は学校に行くし、大人は働かなければならない。
ムスリムが多い企業のなかには、ムスリムの社員のみランチ休憩を取らずに1時間早く帰宅できるところもある。また、学校も午後のクラスを早めに切り上げる場合もある。
ラマダン明けの食事はブカプアサ(Buka Puasa)と呼ばれ、家族はもちろん、同僚や友達など大勢で囲む。しばらく会っていない友達や親戚と連絡を取り合い、近況を報告し合って、旧交を温めるいい機会にもなるようだ。
企業によっては、福利厚生の一環で中国系やインド系も一緒にラマダンディナーを楽しむ場を設けることもある。
家で料理する家庭もあるが、夕方3時頃から立つ「ラマダンバザール」と呼ばれる市場で食べ物を買い込んで家で食事をしたり、レストランで食事をする人も多い。
マクドナルドなどファストフードを含む多くのハラルレストランでは、ラマダン限定のセットメニューを売り出し、ホテルなど規模の大きなレストランではラマダン向けのビュッフェを開催するところもある。人気のレストランは予約が必須だ。
6時半頃には入店し、食べ物を前に日没を待つ。そして、時間が来ると、静かに食事が始まる。
スーパーやショッピングモールの販売員が、日没の時間に売り場でこっそりと簡単な食事を始めるのもよく見かける光景だ。
小さな子どもは断食が免除される。妊婦や生理中、具合が悪い場合も断食はしなくてもよく、後日すればいいとされている。
ラマダン期間中の注意点
マレーシアにはイスラム教徒ではない人も多いため、断食期間中といっても、マレー系やインド系ムスリムのレストランが閉店している程度だ。
ショッピングモール内のレストランは、ほとんどが普段通りに営業しており、都市部では普段と変わりなく生活できる。
「断食中の人の目の前で食事をすることは無礼では?」と思うかもしれないが、営業中のレストランで食事をすることは問題ない。
ただ、ラマダンビュッフェなどに招待された場合は、マナーとして、日没の時間になって他の人が食べ出してから食事を始めよう。
マレー系の割合が多いケダ州、ケランタン州、トレンガヌ州などは、日中食事ができる場所が極端に少ない可能性があるので注意が必要だ。もちろん、リゾートホテルでは普段通りに食事できる。
都市部では、夕方の帰宅ラッシュに気をつけたい。
ラマダンが始まってすぐの一週間は、空腹に慣れておらずイライラしている人も多い。そのため、運転が荒いドライバーも多く、特に後方から突然現れるバイクには要注意だ。
普段より少し早い夕方5時頃には渋滞が始まるので、早めに夕食の場所へ移動しておくようにしたい。
ムスリムを主にターゲットとしている一部のサービスは、ラマダン期間中休みになることもある。旅行する場合は事前に確認しておこう。
イスラムの文化を感じられるチャンス
「断食」と聞くと旅行には適さないように感じるかもしれないが、以上のように、ラマダン期間中は実はイスラムの文化を感じられる貴重な時期でもある。
ショッピングモールは、黄色や緑のマレー文化特有の飾りでデコレーションされ、楽しげなハリラヤの音楽が流れている。
多くのホテルやレストランでは、ラムの丸焼きやビーフルンダン(牛肉の煮込み)など、マレー料理のごちそうを用意しているところが多い。また、マレー料理だけでなく、世界中の料理を楽しめるホテルビュッフェもある。
以下では、マレーシアでもおすすめのラマダンディナーを提供しているホテルをご紹介する。
いずれも人気店なので、予約のうえ、足を運んでみてはいかがだろうか。
JP Teres @ Grand Hyatt Kuala Lumpur
グランドハイアット・クアラルンプールでは、「Citarasa Malaysia」と題したラマダンビュッフェを5月17日から6月13日まで開催している。
目の前で調理した出来たてのほかほかをサーブしてくれるライブキッチンが楽しい。
長時間かけて煮込んだビーフルンダン、ラムの丸焼きなどラマダンならではのごちそうのほか、マレーシア各地の個性豊かなマレー料理が味わえる。
ハーブやスパイスをたっぷり使った煮込み料理、焼きたてのサテー(牛や鶏の串焼き)、バナナの葉やジャックフルーツなどを使ったさまざまな種類のサラダなど、なかなか味わえないマレーの郷土料理は試す価値あり。
点心(ディムサム)やチキンライス、ロティチャナイなどマレー料理以外の味も楽しめる。
また、金曜と土曜はBBQ、日曜はシーフードの特別メニューも登場する。
Citarasa Malaysia @JP Teres
5月17日〜5月23日 PM 7:00 ー PM 11:00 RM158(大人) RM79(子ども)
5月24日〜6月13日 PM 7:00 ー PM 11:00 RM178(大人) RM89(子ども)
※グループ割引(5月24日〜6月13日)RM168
※全額支払い後、予約が完了となります。
※税サ込み。ソフトドリンク込み。
【予約】+603 2182 1234 / jpteres.kuagh@hyatt.com
【Web】https://kualalumpur.grand.hyatt.com/en/hotel/dining/JPteres.html
Mosaic & Lounge on the Park @ Mandarin Oriental Kuala Lumpur
マンダリンオリエンタル・クアラルンプールでは「The Spirit of Ramadan」と題したBuka Puasa(断食明け)ビュッフェを5月15日から6月14日まで開催している。
5月23日から31日までは、マレーシアで最も人気のあるシェフ、Chef Wan(シェフワン)が腕を振るう特別メニューとなる。
また、期間中、ホテル内では伝統的な民族音楽「ガムラン(Gamelan)」が演奏される。
Mandarin Oriental Buka Puasa Buffet
5月15日〜5月22日 RM 6:00 ー PM 10:30 RM168
6月1日〜6月14日 RM 6:00 ー PM 10:30 RM188
Best of Asia Cuisine by Chef Wan
5月23日〜5月31日 RM 6:00 ー PM 10:30 RM188〜228
※全額支払い後、予約が完了となります。
※税サ込み
【予約】+603 2179 8888/mokul-fb@mohg.com
【Web】https://www.mandarinoriental.com/kuala-lumpur/petrona-towers/luxury-hotel
▼ “Lounge on the Park”のアフタヌーンティーについてはこちらから
https://www.the-kl.com/contents/3300/
Lemon Garden @ Shangri-La Hotel, Kuala Lumpur
シャングリラホテル・クアラルンプールでは、5月15日から6月15日まで、Festive Dinner Buffetと題したディナービュッフェを開催している。
伝統的なマレー料理のごちそうのほか、トルコ料理のギョズレメなど特別料理も登場する。
金土の夜は、シーフードをふんだんに使ったFestive Seafood Buffet Dinnerとなる。
Festive Buffet Dinne
5月15日〜6月15日(日〜木) PM7:00 ー PM10:30 RM198
Festive Seafood Buffet Dinner
期間中の金&土曜日 PM7:00 ー PM10:30 RM228
※早期割引(5月15、16、17、20、21、22、23日) RM175
※5歳以下の子ども二人までは無料。3人目以上と6歳〜12歳は半額。
※半額支払後、予約が完了となります。
※税サ込み
【予約】+603 2074 3900/restaurantreservations.slkl@shangri-la.com
【Web】http://www.shangri-la.com/kualalumpur/shangrila/