マレーシアへの日本企業の投資期待高まる

  • 2017.07.04
クアラルンプールのニュースを配信

マレーシアでの日本企業の累積投資額は520億リンギットに達する。

その中でも今注目されているシンガポールとマレーシア間の鉄道建設(HSR)。KLとシンガポール間の移動を90分に短縮する。バンダールマレーシアの株式60%を74億リンギットで中国中鉄と地元企業の企業連合(ICSB)に売却する話が取り止めとなった5月3日。建設推定費用600億リンギットといわれている事業の入札が振り出しに戻った。日本の入札希望企業にあらたな望みが。

売却の中止があった直後に、石井国土交通省大臣が3人のHSR事業関係省庁長官3人と接触していたという。

資金調達、人材育成や地元企業との連携を掲げた提案をし、官民挙げて入札に臨むと同大臣は述べている。

また、HSR建設の受注に成功した暁には、グレーターシンガポールとしてマレーシアに付加価値の高い投資が流入すると考えらると田中 宗介氏(在マレーシア日本大使館 商務官)は報じている。

メディアではあまり取り上げられない日本のHRS建設入札への動きではあるが、THE STAR(電子版)によると、HSRを落札した場合、各駅のまちづくりを地元企業とすすめ、駅の校内にはお洒落なデパートや多様なライフスタイルに合わせた店舗を設けると田中商務官が報じたという。

大量高速輸送(MRT)線第1号開発では、三菱重工が線路の敷設を請け負っており、現在日本企業がMRT線3号開発の入札に参加している。

1980年代、マハティールマレーシア前首相が在職中、ルックイースト政策をもとに、日本政府は数々の地方開発プロジェクトを支援してきた。また、この時期に設立されたマレーシア首相府経済企画庁を通じて日馬間での交流が深めており、長年培われた人脈を使い情報収集を行い次なる事業展開に備えているという。

 

堅調な経済成長を背景に昨年比で日本の投資が30%増となることが期待されている。特にシンガポールとマレーシア間の鉄道建設を日本の企業が落札した場合、その影響が今後の投資に明確に表れるであろうとマレーシア日本人商工会議所(Jactim)の会頭外処は述べた。

最近Jactim とJetroが行った在馬日本企業への調査では、回答者の31.3% がマレーシアの成長を見込んで増資するという。64.4%の回答者は現状維持と答え、4.3% が事業の拡張を控えるという。

今年第1四半期のマレーシアの成長率は5.6%で、予測の4.8%を上回る結果であった。サービス業と製造業が牽引している。

日本企業150社を対象に今年2月6日から3月31日までに行われたマレーシアでのビジネスセンチメントに関する調査によると、センチメント指数が去年の第2半期のマイナス17.8 からマイナス8.8ポイントまでに向上している。

マイナス26.4ポイントという最悪の数値をマークした2015年第2半期。この影響で2016年の投資は2015年の85億から33億リンギットに縮小している。

Jactimは今年の成長率が5%を遂げると予測。マレーシア政府の予測4.3〜4.8%を上回る。

2016年は為替の変動と新外貨管理制度の導入、GST返金手続きの遅れ、及び労働法の度重なる改正等が悪い材料であったものの、英語での対話が可能で、インフラが整い、政治が比較的安定しているという要因がマレーシアへの投資を支えた。

現政権の任期が満期となる来年の半ばには、総選挙が控える。選挙後の増資が期待されている。政治的安定がキーワードだが、日本政府がマレーシアへの事業展開を全面的に推進しており、マレーシアへの事業進出をのぞむ企業の訪馬が一層増えるといわれている。

中国はマレーシアを投資先国として位置づけ、2国間の関係は深まり、中国からの資金が流入してきた。西欧諸国と日本を追い越し、中国はマレーシアの最大貿易国、及び投資国である。

日本のおもな投資先は電子・電気分野で、1400日本企業の内50%が製造業であるが、将来的に、サービス、セキュリティ、卸・小売り、医療、ヘルス、航空機材、ロボット、インフラ部門への投資が伸びていくとしている。

特に卸・小売りでは、日本のコンビニの需要があり、マレーシア国民1%である394,000人が昨年渡日している中で、日本のコンビニやスィーツの人気は注目すべきであると。セブンイレブンの存在が大きいマレーシアだが、まだ日本のコンビニ関連企業が入る余地はまだあるとTHE STAR(電子版)は取り上げている。