マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)は、3月28日に公開した年次報告2017(Bank Negara Malaysia Annual Report 2017)において、「生活賃金(Living Wage)」の概念を導入すると発表した。
「生活賃金」とは、労働者自身とその家族の一定レベルの生活を保障する水準であるべきだという思想に基づいて算定された賃金のことだ。
例えばイギリスでは、非営利団体「Living Wage Foundation」が「生活賃金」を発表することで最低賃金の引き上げを図ろうという取り組みをしている。
中央銀行が2016年の調査結果に基づいて発表したクアラルンプールの「生活賃金」は以下の通り。
【単身者】 RM2700/月
想定モデル:ハウスシェアか間借りした部屋に住み、ほぼ外食で自炊はまれ。移動はほぼ公共交通機関を利用。
【カップル】 RM4500/月
想定モデル:1ベッドルームの賃貸アパートに住む。外食と自炊の割合は半々。バイクと車を所有。
【夫婦と子ども二人】 RM6500/月
想定モデル:3ベッドルームの賃貸アパートに住む。基本的に自炊で、週末に外食する程度。車かバイク2台を所有。子どもを塾に行かせている。
マレーシア中央銀行は、生活賃金によって得られる最低限の生活水準とは、必要な食料を確保するということではなく、社会との関わりを持ち、経済的な安定を得られることだとしている。
2016年度のクアラルンプールの世帯収入と比較すると、クアラルンプールに住む世帯の27%の収入がこの「生活賃金」を下回っているという。